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 ぶらり歩き   
 31. 伊豆半島を歩く (10)   平成24年6月15日
 戸田造船博物館の展示物のなかで一番記憶に残るのは、展示室の入り口に展示されている木製の歯車をもつもみすり機(写真36)である。歯車の歴史は紀元前のエジプトに遡るというから、驚くには当たらないかもしれないが、これも江戸時代の技術の高さと、技術が全国に満遍なく行き渡っていた証拠といえる。日本は抱負な木資源を有する国柄であるため、木の利用は建物をはじめ広範に亘っており、この歯車もこの特徴を生かしたすばらしい技術を具現する製品といえる。

 博物館に併設された駿河湾深海生物館には、駿河湾に生息する深海魚や名物のタカハシガニ等の深海甲殻類の標本が展示されている。駿河湾は最大水深2,500mといわれる、日本で最も深い湾であるため、タカハシガニはじめ珍しい深海魚に恵まれているが、湾の中央部をユーラシアプレートとフィリピンプレートの境界をなす駿河トラフが走っているため、東海地震の発生場所でもあり、痛し痒しといえる。

 博物館と隣り合わせて、延喜式に記載された神社といわれる諸口神社(写真37、もろくちじんじゃ)が建っている。伊豆にふさわしく漁業者の守護神とし、崇拝を集めているという。
 
 今日はウォーキングというよりも観光巡りを中心に計画したため、諸口神社をあとにしてバス停までの登りの道をバスの時間を気にして歩く。バスを利用して向かう先は土肥金山(写真38、といきんざん)である。Sさんはすでに見学しているため、Kさんとふたりで坑道(写真39)に入る。土肥金山は室町時代から開発された日本有数の金山であるが、江戸時代に入り、徳川家康から鉱山開発の才能を見込まれ、重用された猿楽師あがりの大久保長安が思い出される。戦国時代が終わり、平和な国家建設に邁進するためには槍一本の戦国武士よりも、政治経済に精通した能吏を求める家康の意向に合致した人材といえ、土肥をはじめ佐渡金山生野銀山石見銀山等の開発に功績があった。
 
    
 

写真36 戸田造船博物館 木製歯車

写真37 諸口神社 社殿

写真38 土肥金山

写真39 土肥金山坑道入口

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